こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「……今までのこと、謝りたかったんだ。酒井社長にも。だからここへ来た。今更かもしれないが」

「え?」

「俺がしたことは、最低なことなんだ」

ぎゅっと目を閉じ、木崎課長は拳を握しめて俯いた。まだ決心しきれていない胸の内をどうするか躊躇しているようだ。

「知ってますよ。言わなくても、木崎課長がしたこと……峰岸専務たちが話しているのを聞きましたから」

息を吸って木崎課長が口を開きかけたとき、それを制するように私が先に言葉を発した。

「悪いのは上層部の人たちです。木崎課長のやったことは決して許されないものかもしれません、けど……本音のところでは、苦しかったんですよね?」

そうだと言って欲しい。じゃなきゃ、私は一生この人を許すことができなくなる。すると、木崎課長が顔を歪め、唇を噛んだ。
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