こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「ああ。ずっとずっと、会社の役職に就いていながらこんなことをしていていいのかと葛藤していた。妻とも別れ、昇進試験にも失敗して……笑ってしまうくらいにダメな人間に成り下がってしまった。そのとき、君がSAKAIのひとり娘だったことを思い出して……魔が差した。俺は最低な男だ。迷惑をかけてすまない」
木崎課長は上層部から揺すられていたんだ。とは言わなかった。まるでひとのせいにするような言い訳を謹んだのは、木崎課長らしい。
きっと彼もここへ来ることをすごく悩んだに違いない。私にはそんな彼を責めることはできなかった。木崎課長が脱いだコートのポケットからなにかの封書を取り出した。
「これを、最上さんに」
訝しげな顔で最上さんがそれを受け取ると。そこに書かれていたのは「退職届」だった。
「なんだこれは?」
最上さんが低い声で尋ねると、木崎課長は静かに言った。
「見ての通り、退職届です。私はもう会社にはいられません。実家に一旦帰って出直すのもいいかなって思ってるんです」
「甘いな」
木崎課長は上層部から揺すられていたんだ。とは言わなかった。まるでひとのせいにするような言い訳を謹んだのは、木崎課長らしい。
きっと彼もここへ来ることをすごく悩んだに違いない。私にはそんな彼を責めることはできなかった。木崎課長が脱いだコートのポケットからなにかの封書を取り出した。
「これを、最上さんに」
訝しげな顔で最上さんがそれを受け取ると。そこに書かれていたのは「退職届」だった。
「なんだこれは?」
最上さんが低い声で尋ねると、木崎課長は静かに言った。
「見ての通り、退職届です。私はもう会社にはいられません。実家に一旦帰って出直すのもいいかなって思ってるんです」
「甘いな」