こじれた恋のほどき方~肉食系上司の密かなる献身~
「なにがあった?」

「え?」

ベッドの縁に腰を下ろすと、最上さんはしっとりと汗ばんだ私の額から後頭部にかけて撫でつけた。

「嫌なことがあったって顔してる」

「……嫌なことなんてありません」

嘘を見抜かれるのを承知でそんなふうに抵抗してみる。最上さんは何も言わずにただ私を見下ろしていた。

「親父さんから話はあったんだろ? 会社のことを知ってショックだったか?」

やけに優しい声音でそう言われて、私は自分でも気が付かなかった心の傷に初めてハッとした。

そうだ。いきなり婚約者になれとか、父が私を理解してないだとか、そんなことでモヤモヤしてたんじゃない。ずっと、胸に引っかかっていた原因。それは、父の会社のことを今まで知らずにいたことだった。

自分でも気が付かないようなこと、どうして彼にはわかるんだろう。やっぱり彼は不思議な男だ。
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