真実(まこと)の愛
シャワー浴びて髪を乾かした麻琴は、1LDKのベッドルームに移った。
そして、メールチェックをするためにスマホを手に取る。どこからも、なんの連絡も入っておらず、受信していたのはメルマガくらいだった。
ふっ、と泣き笑いのような表情になった麻琴は、いつものように明日の起床時間のアラームをセットした。そして、ヘッドボードにスマホを置く。
それから、ベッドのシーツとブランケットの間にその身を滑り込ませ、リモコンでペンダントランプの光量を落とす。残った光はシェードランプの穏やかなオレンジ色の灯りだけとなった。
麻琴は青山との「不毛な関係」を解消したあと、それまでのセミダブルベッドを処分してシングルベッドに買い換えた。
とにかく快適にぐっすり眠れるように、と奮発して、マットレスは日本ベッドのシルキーポケットにした。
しかし、そんな安眠を約束されたベッドでも、こんなに目が冴えてしまったら、とてもじゃないけれど、寝つくことは容易ではなかった。