真実(まこと)の愛
「それから、作品をつくる側もさ、すべてフリーハンドでお好きなように、っていうよりも、ある程度の『制約』があった方が知恵を搾る必要が出てくるからね。却って『いい作品』が生まれたりするんだよな」
「あ、淳……ちょ、ちょっと待って!」
麻琴はあわててバルパライソからクロッキーブックを取り出した。
笑っている場合ではなかった。
……メモを取らなくっちゃ。
「懐かしいな……それ、まだ使ってるんだ」
芝田は目を細めた。
このクロッキーブックを勧めたのは、美大時代の彼だ。あれから何冊めだろう。