真実(まこと)の愛

「……渡辺さま、お待たせしました。
一応、キープされているボトルをご用意しましたが、ビールもお持ちしましょうか?」

チャームを持ってきた杉山がアイスペールやチェイサーとともに、ボウモア十二年をテーブルに置く。今日のチャームはザワークラウトだった。

「そうね……ギネスをいただこうかしら」

自然と口をついて出たのは、恭介が好んでいつも呑むアイリッシュビールの銘柄だった。

「かしこまりました」

杉山が左耳のダイヤのピアスをきらっと光らせて、すーっと下がって行った。

「あなた、スコッチがお好みなの?
ボウモアって、結構ピートの効いたお酒よね?」

礼子がテーブルの上のスコッチウィスキーに目を落とす。

「もしかして……アイリッシュなのにピート臭のするカネマラが好きな恭介の影響?」

カネマラは恭介がキープしているアイリッシュウィスキーだ。

麻琴は首を左右に振った。

「いいえ、恭介さんと出会う前から、わたし自身がこの正露丸みたいな味が好きなんです」

「わたしは何度勧められても……とうとうダメだったわね」

礼子は優雅な手つきでグラスを持ち上げ、甘い甘い貴腐ワインを口に含んだ。

「恭介の亡くなったおばあさまはイングランドのお生まれだったんだけど、そのルーツをたどるとアイルランドの血も入ってたんですって」


……なんだ、恭介さんがカネマラを呑んでいたのは、別にわたしのボウモアに合わせてるわけじゃなかったのね。

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