真実(まこと)の愛
「恭介とは長いつき合いだし、お互いハジメテの相手だったけどねぇ。あんなふうに呆然と佇むあいつの姿こそ、ハジメテだったわよぉー!」
……ちょ、ちょっと久城さん?
聞きたくもない「情報」がぶっ込まれてますけど、もしかして酔ってます?
「それからしばらく呑んだあと、急に恭介がそわそわしだしたと思ったら席を立ったの。おもしろそうだから、あとを尾けて行ったのよ。
そしたら、声を殺しながらスマホで通話し始めたから聞き耳立ててたら、なんと相手に『弁解』してるじゃん!
……あのクールでカッコつけの恭介がよっ⁉︎」
込み上げてくる笑いに耐えかねた礼子は、とうとうテーブルをバンバン叩き始めた。
「ねぇ、あのときの通話の相手って……あなたよね⁉︎ きっと、そうよ!そうに決まってるわっ!」
礼子の豹変ぶりに息を飲む麻琴に、
「渡辺さま、ご心配なく。
……これがこの方の『本来のお姿』なので」
杉山が平然とコースターを敷いた上にギネスを置く。
「ですから、この席に『隔離』させていただいてるんですよ」
……この人、血をたどっていくと、確か「やんごとなきお方」まで行き着くはずよね?
どんな様子か気になって見に来たが、カウンターの方が忙しい杉山は、すぐに戻らなければならない。
「……では、渡辺さま、久城さまのお相手、よろしくお願いします」
彼は申し訳なさそうにして下がって行った。