真実(まこと)の愛

「久城さま……渡辺さまを揶揄(からか)いになるのは、おやめください」

ギネスを持ってきた杉山が、うんざりした顔で言う。

「だって、(かける)くん……君だって見たでしょ?」

礼子はまるで幼い少女のように口を尖らせた。

「今まであいつのしちめんどくさい親戚どもの前でも、憎ったらしいくらいマイペースに泰然自若としてたあの『恭介』がよ?
あの夜、この人とそのお相手を見るなり、棒のように突っ立っちゃって、固まったまんまだったのよ⁉︎」

礼子はそのときのことを思い出したのか、ぶふっ、噴き出した。


……あれっ?
この(ひと)こんな感じの人だっけ?

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