真実(まこと)の愛

「うちの社長、有名な『遊び人』だもんね。
……どうやら、あなた、わたしのことを『心配』してくれてるみたいね?」

礼子はさもおかしそうに声をあげて笑った。

「ご…ごめんなさい」

麻琴は失礼なことが表情に出てしまったと思って謝った。

そして、気まずさを紛らわすために、目の前にセットされたアイスペールから地球のようなまん丸の氷を取り出してバカラのグラスに入れ、ボウモアをとくとくとく…と注いだ。

……ちょっと吞まなきゃ、やってらんないわ。

「いいのよ。あなたがそう思うのも無理ないわ。
……たぶん、恭介もそうでしょうね」

礼子は、ふっ、と笑った。

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