真実(まこと)の愛
「アイリッシュなのにピーティなカネマラを好むのは、僕の中に流れるイギリス人の血の『ジョンブル魂』ってヤツかな?よく『不屈の精神』なんて言うけどね。とんでもないよ……実際のJohn Bullは天邪鬼でいつもひとこと多い皮肉屋さ」
彼の明るいブラウンの髪も灰緑色の瞳も、イギリス出身だった祖母譲りだ。
「要するに『あたりまえ』のものは格好悪いと斜に構えて、格好つけてるだけなんだよ」
そう言って松波はニヤリと笑い、タリランドの中で輝く琥珀色のカネマラをくっ、と呑んだ。
「……ところで、先刻の僕の『申し入れ』、見事にはぐらかされてない?」
麻琴はそう言われて思わず肩を竦めた。
どうやら「現実逃避」してしまったのはバレバレみたいだ。