真実(まこと)の愛

麻琴はタブレットの質問シートに目を走らせた。

「すごく合理的でいいと思います……ただ」

「なに?なんでも言って?」と、穏やかな目で松波が麻琴を見る。

「どうせなら、情報システム部でちゃんとしたフォーマットをつくってもらうべきじゃないでしょうか。社員からの回答を自動で集計できるようにするほかに、人事部の社員データに直結するような仕様(システム)にしてもらったらどうでしょう?人事部にとっても、人事考査のときに考慮しやすくなって重宝すると思うんですが」

松波の目が一瞬、見開く。

「なるほどね……」

そして次の瞬間、ぱぁーっと明るい笑顔になる。まるで……太陽だ。

「ありがとう……さすが、麻琴さんだ」

麻琴はその笑顔をまともに喰らってしまった。

……うっわぁ!太陽を直視してしまったわ!

あわてて目を伏せて「保護」する。

「えっと……情報システム部の部長は青山さんです。きっと、わたしたち社員にとっても使いやすいフォーマットにしてくれるはずですよ」

……たぶん、ややちゃんが担当することになるだろうけれども。

麻琴は稍がデータベースのソフトを使えることを思い出していた。

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