最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~
なんて思っていると、エヴィエニスはベランダへと向かった。
窓を開けて、握った手をそっと開く。その掌からヤツが飛んだのが私の位置から辛うじて目視でき
た。
羽を広げたヤツはそのまま大空を飛び、闇に溶けるように消えていった。
その姿を見送ると、エヴィエニスは窓を閉めて戻ってきた。
「おい、コラ! なんで逃がしたんです!?」
迷い込んできた蝶か、小鳥でも逃がすような動作だったけど、あれは駄目だ。
生かして、逃がしてはいけないタイプの生き物だ。
「我らドラゴンは戦意のない者とは戦わん。それが例え虫ケラでもだ」
「ヤツは、そこに1匹いたら、あと50匹はいるんです! 根絶やしにしないと、また現れるんですよ! どうしてくれるんですか!?」
スプレーを構えたまま、ベランダから戻ってきたエヴィエニスを責める。
すると彼は、
「その時は、夫の我が対処してやる。ヒナタには、指一本触れさせん」
今日だけはエヴィエニスが頼もしく、輝いて思えた。
夫じゃないけどな。