最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

 なんて思っていると、エヴィエニスはベランダへと向かった。
 窓を開けて、握った手をそっと開く。その掌からヤツが飛んだのが私の位置から辛うじて目視でき
た。
 羽を広げたヤツはそのまま大空を飛び、闇に溶けるように消えていった。
 その姿を見送ると、エヴィエニスは窓を閉めて戻ってきた。

「おい、コラ! なんで逃がしたんです!?」

 迷い込んできた蝶か、小鳥でも逃がすような動作だったけど、あれは駄目だ。
 生かして、逃がしてはいけないタイプの生き物だ。

「我らドラゴンは戦意のない者とは戦わん。それが例え虫ケラでもだ」

「ヤツは、そこに1匹いたら、あと50匹はいるんです! 根絶やしにしないと、また現れるんですよ! どうしてくれるんですか!?」

 スプレーを構えたまま、ベランダから戻ってきたエヴィエニスを責める。
 すると彼は、

「その時は、夫の我が対処してやる。ヒナタには、指一本触れさせん」

 今日だけはエヴィエニスが頼もしく、輝いて思えた。
 夫じゃないけどな。
< 144 / 146 >

この作品をシェア

pagetop