最強の暗黒龍は喪女にゾッコン ~VRMMOの裏ボスが子作り前提で求愛してきました~

 いつでも通報できるように、枕元に置いたスマホをそっと後ろ手に隠した。
 全裸イケメンの表情が、不敵な笑みから呆れ顔に変わった。
 口なんか、完全に『へ』の字になってしまっている。
 待って。への字口したいのは、私の方なんですけど?
 私にもしっかり聞こえる大袈裟なため息をついて、

「我と貴様は昨夜、晴れて番になったではないか。もう忘れたのか?」

 小馬鹿にした口調でまくし立てると、最後に「ハンッ」と鼻で笑った。
 なんで全裸の変質者に、鼻で笑われてるんだ?
 そうだ。この人、全裸だし、人の家に不法侵入してるぞ!
 なんで、そんな一番大事な所を見落としていたんだ。警察に通報しないと何をされるか、分からない。
 相手を刺激しないためにも、悲鳴を上げるのは今後、NGだ。
 

 落ち着け。冷静に、冷静に対応だ。

「ん?」

 昨夜? ツガイ?
 バラバラになっていた記憶が、一本の糸で繋がっていく。
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