俺様外科医と偽装結婚いたします


「いっ、いったいどうしたんだ!?」


一触即発な空気を切り裂くように、戸惑いの叫びとともにデッキをかけてくる足音が響いた。


「環くん? ……そ、そこにいるのは宏大なのか!? お前、そこで何をしている!」


駆け寄ってきていたのは成木社長で、環さんと対峙しているのが自分の息子だと気づいた途端、顔を青くした。


「今日は飲むなとあれほど言っておいたのに、お前ってやつは!」


環さんがその場から立ち上がると、代わって社長が息子のとなりに膝をついた。そして恐る恐ると言った様子で環さんへと視線をのぼらせる。


「うちのせがれが……なにか問題を?」

「いえ、特になにも」


顔色を伺いながらの問いかけに環さんが無表情で答えたことで、成木社長はわずかに安堵の表情を浮かべる。

その様子を見つめていた環さんが、冷ややかな笑みを湛えながら口を開いた。


「あぁ、そう言えば……、三週間後に行われる再来年設立予定の小児医療センターの建築コンペに、成木建設も参加されるらしいですね」


環さんのその一言で、成木社長はぱっと表情を明るくし、媚びるように手もみをする。


「えぇそうなんですよ! うちの精鋭が一丸となって取り組んでいるところです!」

「そうですか。それで責任者はどなたが?」


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