フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

今でこそ「女優」として芸能界に君臨する八坂 今日子であるが、デビュー当初はわたしと同じ「雑誌の専属モデル」だった。

——といっても、同い年であっても向こうは「青文字系」だったから「赤文字系」のわたしとは接点がなかったけどね。

彼女のいた原宿系個性派ファッション誌(青文字系)の「CuTE!」とわたしのいたコンサバ系お嬢様ファッション誌(赤文字系)の「GanGam」では、対象(ターゲット)とする読者層も方向性もまるで違った。

——「清純派」として売っていた彼女に「青文字系」はイマイチ合わなかったのよね……

むしろ、こちら側(赤文字系)の方が向いていたかもしれない。

そんなわけで、残念ながら彼女はモデルとしてはさほどパッとしなかった。


しかし、そんな彼女が世に出るきっかけとなったのは……

所属事務所(プロダクション)がイチオシしていたアイドルの子が主演する映画に端役で出演することになって知り合った、その映画の原作者だったある作家との熱愛(スキャンダル)だ。

とはいえ、当時業界内でまことしやかに囁かれていただけで、世間の人たちは知らない。

なんでも、彼女の事務所によって週刊誌のスクープ記事が握り潰されたという話だ。

さらに、その交換条件(バーター)として、相手の作家がその週刊誌のコラムを連載してゆくゆくはその出版社からエッセイ本を出すことと、八坂 今日子がその週刊誌のグラビアでオールヌードを掲載しその出版社からヘアヌード写真集を出すことが出版社側に提示されたという。

実際に、作家も八坂 今日子もその「仕事」をしているため、業界人たちにはこれから先もこの世界で生き抜くために二人が「賢明な判断」をしたのであろうとウワサした。

やっぱり芸能界っていうところは闇でしかないと、つくづく思う。

——だけど、そのくらい「覚悟」がないとこの世界ではやっていけない、というのも哀しい現実なのよね……


なぜなら、彼女の「体当たり」の写真集が各方面に大きな反響を与え、その後江戸時代の遊郭という苦界に身を落とす女の一生を描いた文芸大作の映画の主演に大抜擢されたからである。

彼女はモデルよりも女優の方に才能があったのだろう。

わたしと同じく三十代を迎えた彼女は、今や日本を代表するトップ女優にのし上がっている。
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