フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

「今回、私どもが神宮寺先生をどうにか口説き落としまして『小鳥遊家の籠の小鳥は逃げない』の再ドラマ化に漕ぎ着けました。
ですから、神宮寺先生のご意向に反したものをつくるわけにはいきません。
主役は原作どおり小鳥遊家の息子で、キャスティングは今日いっしょに来てもらった風間 優雅君で考えております」

「風間君とはまだ東がプロデューサーで私がディレクターをしていた時分に、彼がドラマに出始めた頃からの付き合いなんです。
なので、私たちは気心もしれているし、またそれぞれが全幅の信頼を置いています」

どれだけ後からイケメン俳優が出てこようと衰えぬ人気を誇る風間 優雅を「君」呼びしていることから、どうやら彼がブレイクしたドラマに大抜擢したのがこの二人らしい。

道理で彼が今、オーラをすっかり消して「素」の部分を(さら)しているわけである。


それにしても、八坂 今日子主演のドラマ&映画がひどい言われようだ。

「でも……ドラマの視聴率も映画の興行成績もそんなに悪くありませんでしたよね?」

不思議に思ったわたしは尋ねた。

「まぁ、それはそうなんですが……
実はあれ以来、神宮寺先生がご自分の作品の映像化をすっかり許諾されなくなりまして……」

東氏の顔が一気に曇る。

——うわぁ……神宮寺先生はかなりご立腹(激おこ)のようだわ。


「しかし、今回再ドラマ化して神宮寺先生のご納得いく形に仕切り直し(リメイク)できましたら、今度出版される作品の映像化を我が局で獲得できそうなんですよ」

加藤氏の言葉に熱が籠る。

この出版不況の中であっても、神宮寺 タケルが出す単行本はベストセラー間違いなしと言われている。

話題性のある「原作」は、テレビ局にとって喉から手が出るほどほしいコンテンツだろう。

「LEIKAさんのSNSを拝見して、こちらの洋館が原作に登場する小鳥遊家のイメージにぴったりだったんです。
この洋館の歴史を感じさせながらも洗練されたオシャレな雰囲気の中でストーリーを進行すれば、神宮寺先生が原作で描かれた『世界観』を体現できて、きっとご納得いただけるドラマになると思うんですよ。
前のドラマや映画では、東京郊外の設定なのにどういうわけか片田舎にある旧家の日本家屋でロケしていたみたいなので……」

神宮寺 タケルの小説をちゃんと読んだことのないわたしですら、申し訳ないけれども旧家の日本家屋では彼の作風から醸し出される「オシャレな空気感」を表現するのは難しいような気がするわ。


「では、主人公の義姉の配役はどうなるんですか?」

八坂 今日子が演じていた「主演」だけど……まさか彼女が「わたしの役は渡さないわよ!」とばかりに出張ってこないよね?

しかも、彼女は「義弟」役の風間より歳下である。

「あぁ、それなら……」

加藤氏が元タカラ◯カ出身の女優の名を挙げた。

毎年「上司になってほしい芸能人」ランキングで上位になる人気女優だ。

神宮寺先生もたぶんご納得のキャスティングだろう。
< 108 / 166 >

この作品をシェア

pagetop