フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

風間の眉間にぐっと皺が寄る。

「まだ二十代の初めの学生のときで、このままこの世界でやっていこうなんて思ってもみなかった頃だったら……
——たぶん、喜んで就職していただろう」

でも、彼はそのときもう自分の人生を変えるほどの「映画との出逢い」を果たしていた。

芸能界(この世界)をすっぽりと覆う闇の中に一筋の光明を見出して、その「輝き」に魅了されていた。


「——あなたは一週間後、父の話を……断ったのね?」

風間は静かに肯いた。

「そしたら、おまえの親父さんに……
『君との結婚を諦めざるを得なくなったレイカには、私が政財界から早急に相手を見つけて結婚させるしかないが……三十歳を超えると、とたんに敬遠されるから時間がない。
君がもしそんなレイカに少しでも後ろめたく感じるのならば、今後レイカが君に対して決して未練などを持つことのないよう、別れる際には徹底的に君が「悪役」になってくれ』……って言われたよ」

それまでも父からの結婚への圧力(プレッシャー)はあったが、その後はわたしを(やしき)の者たちに命じて拉致まがいのことをするまでヒートアップして行った。


「それで……八坂 今日子と付き合ったんだ?」

わたしは彼の「妻」の名を出した。

「それとも——その前から、すでに付き合ってたのかしら?」

「いや、違う!」

風間は即座に否定した。

「今日子とは、その頃チーフプロデューサーをしていた東さんの紹介で知り合って……」


——あーっ、思い出したっ!

八坂 今日子には当時「歳上で既婚者のテレビ局プロデューサーAと不倫している」というウワサもあった。

もちろん事務所の力で抑え込んでいたから、一般(ピープル)は知らないけど……

もしかしたら、そのスクープを嗅ぎつけた週刊古湖あたりがそれを揉み消す交換条件(バーター)として、古湖社から八坂 今日子のフォトエッセイを出版させたとか?

——うっわー! ()っわー! やっぱり芸能界の闇、深すぎるー‼︎
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