フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
——えっ、わたしたちの『政略結婚の末の偽装結婚』を嗅ぎつけたマスコミがいるの……⁉︎
「池原が言うには、結婚してすぐ『夫』が単身で中国へ赴任したのに、帰国するまでの三年もの間『妻』が会いに行った形跡がまったくないんだそうだ」
——一度も中国へ行ってないどころか、まともに顔を合わせたのはつい最近だし……
「夫の方もその間一度も帰国することなく、しかも仕事のときはもちろんパーティ等の公の場でも『秘書』をパートナーとして連れて回っているらしい」
ベリが丘にあるノースエリアのこの洋館へは(なぜか長澤 典士と共に)出禁となっている、夫の「愛人」と思われる武田 かおるのことだ。
——すっかり記憶の遥か彼方のラララ星送りにしてたから、久しぶりに思い出したわ。
「もし、ヤツの話が真実だったなら……」
風間の「圧」が——その熱い眼差しが、最高潮に達する。
「離婚して……今度こそ、おれと結婚してくれないか?」
「ええええぇっ……⁉︎」
わたしはびっくりして大声で叫んだ。声が盛大にひっくり返る。
「ちょ、ちょっと、優雅っ⁉︎
あなた、何言ってんのよっ⁉︎ 頭、どうかしちゃったんじゃないのっ⁉︎」
すると、今まで強張っていた彼の表情がふっと緩んで、みるみるうちに満面の笑みへと華やいでいった。
「俳優・風間 優雅」を推してるファンならば、即あの世逝き間違いなしの「尊い」笑顔だ。
「……やっと、おれの名前を呼んでくれたな、レイカ」
——うわっ、失敗った……!
絶対に二度と名前呼びだけはするまい、と思っていたのに。
「風間さん」
わたしがそう言い直すと、とたんに風間は萎れた表情に変わった。
「わたしだけじゃなく、あなただって既婚者だわ」
——都合よく、一瞬のうちに記憶喪失にでもなったのかしら?
でも、忘れたとは言わせないわ。
あなたには「国民的女優・八坂 今日子」っていう妻がいるのよ?
「……わかっているよ」
彼は重々しく肯いた。
「実は……今日子とは離婚を前提にして……
すでにもう、お互い弁護士を間に立てて協議している最中なんだ……」