フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

「あ、そう?」

——またパートナーは例の秘書なのかしら?

「何を他人事みたいに言ってるんだ?
君もおれといっしょに出席するんだよ」

「ええっ⁉︎ ……もしかして、わたしがあなたのパートナーなの?」

わたしは素っ頓狂な声を張り上げた。

「当たり前じゃないか。
戸籍上とはいえ、君はおれの妻なんだから」

「えっ、だけど……まずいんじゃないの?」

「何がまずいんだ?
おれが帰国したのに、夫婦でパーティに出席しない方がまずいだろ」

——まぁ、確かに、それはそうなんだけど……


わたしは「あのこと」を言ってみることにした。

「実は……この前、うちの洋館を下見(ロケハン)に来たJAPANテレビの人が言ってたんだけど……」

本当は『JAPANテレビの人』じゃなくて、元カレの俳優・風間 優雅が言ってたことなんだけどね。

「……どうやら、古湖社がわたしたちが『政略結婚の末の偽装結婚』だってことを嗅ぎつけたらしいのよ」

一瞬で、小笠原の目が鋭くなった。

「古湖社ってことは……週刊古湖にでもスクープされて報道されるのか?」

わたしはあわてて言った。

「違う違う。そこまでは聞いていないわ。
ただ、結婚してすぐにあなたが単身で中国へ渡ったとか、その間わたしが一度もあなたに会いに行ってなかったとか、そういう事実の積み重ねから疑ってるみたい」

「なるほどな……」

小笠原は低い声でつぶやいた。

「今、わたしたちが目立った動きなんかしたら、古湖社に限らずいつマスコミに決定的な証拠を掴まれるかしれないわよ?
だったら、しばらくはおとなしくして様子を見た方がいいんじゃないのかしら?」


「——そうかな?」

ところが、彼はまるでこの状況をおもしろがるかのように、にやりと笑った。

「むしろ、逆におれたちがパーティという『公の場』に二人で出て行って『仲の良い夫婦』を演じた方が……
そんなスクープを木っ端微塵に打ち消せるんじゃないか?」
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