フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
💟 Fake 6
パーティ会場でキャットファイト…?
あのあと、裏庭の撮影を終えた東部長と加藤プロデューサーが玄関先のエントランスに戻ってきたので、JAPANテレビ御一行にはお帰り願った。
風間はわたしとL◯NE交換したそうな素振りを見せてはいたが、気づかない振りをして見送った。
わたしと小笠原が『政略結婚の末の偽装結婚ではないか?』と嗅ぎつけているマスコミがいると聞いた以上、不用意なことはしたくない。
——この先、わたしと小笠原が『政略結婚の末の偽装結婚』を解消して離婚したとしても……
それは、そのときに公表すればいい。
しかし、マスコミが嗅ぎつけていることだけは小笠原に報告しておいた方がいいかな、と思ったが……
小笠原は思ったよりもずっと激務で、国内外問わず出張がちだった。
わたしの方はというと(本業の方は相変わらずの閑古鳥が鳴いていたけれど)イン◯タなどのSNSで「英国人のおばあちゃま直伝!☆LEIKA’s British Cooking☆」の閲覧数やフォロワー数がますます伸びていた。
村田からは「どんどん写真を送ってください!」と急かされ、毎日せっせと料理をつくってはスマホで画像を撮りまくる、わたしにしてはなかなか忙しい日々を送っていたので、なかなか改まって話す機会がなく日々が過ぎて行った。
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「——へぇ、だんだんまともな味になってきたな」
その日の夜、小笠原がわたしのつくった夕食を一口食べてからそうつぶやいた。
「……とは言っても、バブル・アンド・スクイークだからなぁ。
昨夜、おれが味を修正したサンデーローストのおかげか」
「Bubble and squeak」は前日の余り物に「冷蔵庫の残り物」を放り込んで炒めたお料理で、確かに昨夜のサンデーローストを土台にして冷蔵庫にあったキャベツや人参なんかを追い足してつくってはいるけれど……
——最近は、あなたの出張中に修正なしでなんとか食べられるくらいには上達しているのよっ!
「……そうだ、君に話しておくことがあったんだ」
不機嫌極まりなく無言のままバブル・アンド・スクイークを食べていたわたしに、小笠原は言った。
——なあに?
わたしは怪訝な顔でお皿から顔を上げた。
「今度、パーティに出ることになった」