フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
タキシード姿の長身の男性がすっと現れて、女性の横に立つ。
シャンデリアから差し込む光が、彼のかけているリムレスの眼鏡のレンズに反射して、ギラリと光った。
もともと理知的な面立ちだが、小笠原に向けるその目があまりにも寒々と冷え切っていて、バンケットルームの気温がいきなり下がったような気がした。
——『他人の嫁』って……この人が「夫」ってこと?
ふと見ると、彼のポケットチーフは彼女のドレスと同色のプラム色だった。
——一応、うちの方でもわたしのドレスの色に合わせて小笠原のポケットチーフはパールホワイトだけどね。
もちろん、竜生くんが気を利かせて用意してくれたものだ。
さらに見ると、なるほど左手薬指には同じ指輪を着けている。
ティファニーでも人気のハーモニーと見た。
——あら、フェミニンなデザインなのに、ご主人は見事に着けこなしているわね……
思わず本職の「モデル目線」なって感心してしまった。
「……青山」
小笠原はまるで「残念な子」を見るかのような表情になった。
「中学・高校時代の『親友』とのほぼ三年ぶりの感動の再会やってのに、おまえは相変わらずややちゃんのことしか見えてへんねんなぁ……」
そして、欧米人のように肩を竦める。
わたしは小笠原のことはほとんど知らないため、彼の交友関係なんてわかるはずがない。
——中学・高校時代からの親友の青山氏とその奥様の『ややちゃん』ってことね。
状況を把握して頭の中でコ◯ンのように組み立てる。