フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】
「それは、大株主であるTOMITAが株主総会で佐久間社長解任の緊急動議を提案して——」
「ということは、あなたの伯父様はわが大坂江戸屋百貨店の取締役はおろか社外取締役ですらないということね」
すかさず彼女の言葉に被せてあげた。
取締役に名を連ねていると、臨時取締役会を開いてその場で社長解任の緊急動議にかけ、取締役たちの賛同を得られればまだ可能性はなくもないが……
「年に一度の株主総会で株主の過半数の賛同が得られるほど、TOMITAは大坂江戸屋百貨店の株をお持ちか、または委任状を獲得できるというのね?」
——すでに二十五パーセント以上をわたしたち佐久間家が持っているんだけどね。
「それに……何度も言うようだけど、TOMITAの株をどうこうできるのはホールディングスの『富多家』でしょう?
メインバンクのあさひJPNグループの朝比奈家とも政略結婚でつながっているし……」
——TOMITAとあさひJPNが持っている株は、おそらくそれぞれ数パーセントくらいじゃないかな?
一般の個人投資家だっているし、議決権の委任状を集めるにせよ、過半数を確保するのはほぼ無理だと思うのだが。
さらに、【悲報】です。
「あなたの伯父様ではなくて、富多副社長とあさひJPN銀行の朝比奈頭取が、うちの社外取締役に就任されているわ。
……あなた、中国から帰国して情報がきちんとアップデートできてないわよ?」
呆れ果てた口調で、ふん、と鼻で嗤ってやった。
「あら、ごめんあそばせ。
まだ『時差ボケ』されてらしたのね?」
ちなみに上海との時差は、たったの一時間だ。
そのとき、ふと気づいた。
——あ、そうか!
富多副社長が社外取締役に就任しているのは大株主だからか!
でも、こういう「自分にとって都合の悪いこと」はしっかりと黙っておく。