フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

十七歳のとき、史上最年少でファンタジー小説作家の登竜門「日本ファンタジー小説新人賞」を獲った神宮寺 タケルは、出版された受賞作でいきなりベストセラーを飛ばした。

旧ジャ◯ーズ系の風貌(ビジュアル)も相まって「超大型新人の高校生作家」とマスコミから引っ張り凧となり、一躍「時の人」となった。

それから十年近く経ったが、相変わらず出版された本はネットでたちまち一位、本屋では店頭に平積みだ。

——わたしは彼の作品をまともに読んだことないけどね。


「恐れ入ります。神宮寺先生が主人の代わりにお引き受けくださったおかげで、本当に助かりましたわ」

わたしはすっかり体得した「女優スマイル」をいっそう華やかに進化させて、夫の「盾」となってくれた先生にお礼を述べた。


すると、先生が少し目を見開いた。

「へぇ……あんた、こいつが下戸(げこ)なのを知ってるのか。
……しかも、『ええっ、ウソでしょ?イメージが違う!』とか()って勝手に幻滅せずなんかせずに、しっかりと受け入れてんじゃん」

——あ、『あんた』?

もしかしなくても……わたしのことよね?

お口の方は、お顔みたいにかわいくないようだ。


「なんだ、おれには政略結婚みたいなことって言ってたくせに……案外『普通の結婚』してるんじゃねえか」

あれ? 先刻(さっき)もそのようなことを聞いたような気がする。

——あっ、青山夫妻からだ。

神宮寺先生の奥様の姉夫婦……つまり、彼の義姉(あね)夫婦である。


そんなことよりも……

先生の口振りから、お酒に関して武尊さんに黒歴史がありそうだということはわかった。

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