フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

……っていうか、

優雅がわたしの元カレだったってこと、八坂 今日子は知ってたんだ……

思わず、呆然と彼女を見つめ返す。


いやいやいや、そんなことよりも——

周囲の目が一斉にわたしに集中してるじゃないっ!?

特に、古湖社の池原とかいう編集者の目がひときわ爛々と輝いている。

——まずい、まずいわ……

こんなの、週刊古湖にとっては格好のスクープじゃないっ!
まさか、近くに週刊夏冬やサタデーとかの記者までいるんじゃないでしょうね!?

だとしたら……恐ろしくて周囲を見回すこともできやしない。


だけど——

そんな週刊誌なんかよりも、もっと見ることができないのは……

すぐ隣にいる小笠原 武尊——わたしの「夫」だ。


結婚前のわたしと風間 優雅が付き合っていたなんて、まったく報道されたことがなかったから世間だって知らない。

武尊さんにとっては、まさに寝耳に水のはずである。

しかも、あの八坂 今日子の言い方では、彼らの離婚原因がまるで「わたし」のように受け止められかねなくない?

それどころか、もしかしてわたしと優雅が互いに別の人と結婚したあとも密かにダブル不倫をしていたのではないか、とも……


——こんなことになるのなら……やっぱりこのパーティに来るんじゃなかった……

わたしの顔から、すーっと血の気が引いていく。

そもそも、武尊さんが……

『パーティという「公の場」に二人で出て行って『仲の良い夫婦』を演じた方が……
そんなスクープを木っ端微塵に打ち消せるんじゃないか?』

って言うから出席したっていうのに——


だが、しかし……

今さらどうすることもできず、視線をゆらゆらと彷徨(さまよ)わせていたら……

不意に、神宮寺先生と目が合った。

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