フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています！〜 【Berry’s Cafe Edition】

職業柄、いろんなブランドのジュエリーを身につける機会があったけれども、この「メレリオ・ディ・メレー」のものは身につけたことがなかった。

フランスのジュエラーであるメレリオは、「ヴァン クリーフ＆アーペル」「ショーメ」「ブシュロン」「モーブッサン」と並び立つ「五大宝飾店(グランサンク)」である。

創業が一六一三年という店(メゾン)の「お得意様」の中には、なんとあのマリー・アントワネットもいるという。
まさに、歴史と伝統と格式を持つジュエリーブランドだ。


式の後、あわててググったところによると、いただいたリングはメゾンの名を冠した「メレリオ ダイヤモンドリング」であった。

楕円形(オーバル)を縦にしたダイヤモンドの周囲にメレダイヤがぐるっと一周施され、アームにもメレダイヤがぎっしりと取り巻いている。

中央のオーバルのキャラットは——どのくらいだろう？

もちろん一キャラ以上(アップ)は間違いない。


——江戸屋(うち)に侮られないようにと「大坂百貨店の意地」を見せてきたなぁ……

気合い入れてつけないと、この半端なくギラギラ輝く指輪に「わたしの指」が負けてしまう。

うちの母からサイズを聞いたのであろう、まるで吸い付くみたいにジャストフィットしている。

——そっちがそう来るなら、こっちは「モデルの意地」よっ！


わたしは俯いていた顔を、しっかりと上げた。