フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

三上さんによる極上のエステコースが終わって身支度を整えたら、今度は同じフロアにあるヘアサロンへと向かう。

ベリが丘タウン内の海岸「ベリが浜」に面した全室オーシャンビューのこの最高級ホテルにはライフサービスのフロアがあって、目指すヘアサロンもエステサロン同様そのエリアに店を構えている。

本当になんでも揃っていて、生活のすべてがこのホテルの中で事足りる、と言っても過言ではない。


ヘアサロン受付の女の子にVIP専用の個室へと案内される。

先ほどのエステサロンのアジアン調とは打って変わって、こちらは白と黒(モノトーン)を基調とした現代的(モダン)でスタイリッシュなテイストだ。

姿見のある正面とは反対側の真っ白な壁面(ホワイトキューブ)には前衛的(アバンギャルド)な抽象画やオブジェがセンス良く配置され、さながらニューヨーク近代美術館(M o M A)へ訪れたような気分にさせてくれる。


「いらっしゃいませ、レイカさま」

モデルか?と見紛う長身のイケメンの男性が、にこやかな笑顔で出迎えてくれた。

「今日もよろしくね、竜生(りゅうせい)くん」

「こちらこそ、よろしくお願いします。どうぞおかけください」

彼にマッサージチェアのような座り心地の良い真っ黒な椅子に促され、わたしは腰を下ろした。

すかさず、首にふわりと真っ白なケープが巻かれる。


長身のイケメンの男性——星野(ほしの) 竜生くんは、映像や活字メディアなどで女優さんやモデルさんからスタイリングのご指名が殺到しているアートディレクターである。

「急に予約(アポ)取って大丈夫だった?相変わらず、忙しいんでしょう?」

正面に置かれた大きな姿見に映る竜生くんに、わたしは微笑みながら訊いた。

彼とはお互い業界に入って「ひよっ子」の時代からの付き合いだ。

もちろん余程のことがない限り、ヘアメイクなどのスタイリングはずーっと彼にお願いしている。


「他でもない、モデル・レイカさまの『ご指名』ですからね」

鏡の中のわたしに向かって、竜生くんが軽くウインクした。
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