フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

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大満足の仕上がりにしてもらったのでせっかくだから何か美味しいものでも食べようと、ホテルを出て同じベリが丘にあるツインタワーへと向かった。

タクシー内でお気に入りの中国料理のお店に電話すると、運良く個室が空いていると言う。

ダメ元で連絡を入れて良かった。

——一軒めで予約取れるなんて、やっぱり今日はツイてる日ね。

2(ツー)メーターほどでツインタワーの東側に到着すると、わたしはタクシーを降りてイーストタワーへ入っていく。


エレベーターでVIP専用レストランが入る高層階フロアへ上がっていく。

予約した中国料理のレストランの入り口にたどり着くと、真っ白なコックコートを着たまだ歳若い女性がわたしを出迎えてくれた。

総料理長の() 子怡(ツーイー)さんだ。

「レイカさま、本日は珠海樓(チューハイロウ)・東京ベリが丘ツインタワー店にお越しくださり、誠にありがとうございます」

総料理長が直々(じきじき)に深々とお辞儀してくれる。

横浜の中華街にある老舗の本店は伝統的な味をしっかりとまもっているのだが、ベリーヒルズビレッジからこのベリが丘のツインタワーに移転した東京の支店は斬新な「新しい中華料理(ヌーベルシノワ)」だ。


「ローレン、今日は突然お願いしてごめんなさいね」

「子怡」って名前が日本人には発音しにくい
ため、わたしは彼女の洗礼名(クリスチャンネーム)の「ローレン」の方で呼んでいる。

彼女の父親は中国出身であるが母親は日本人なので、彼女自身は横浜生まれの横浜育ちだ。

料理の才能は言うまでもなく、ルーツである北京語・広東語・日本語のほかに英語もペラペラの才媛でもある。

普段は「ローレン・リー」と名乗ることが多い彼女だが、「子怡」の方の名前は母親が大ファンだったという「(チャン) 子怡」から名付けられたという。

章 子怡は「初恋の来た道」や「グリーン・デスティニー」など、中国の映画はもちろんハリウッドでも主役級を務めた国際的女優である。


「あ、そうそう。
ついさっきまで、竜生くんのサロンで綺麗にしてもらってたのよ。
だから、今度はローレンのお料理が食べたくなっちゃったの」

すると、真っ白なコックコートを着て凛と立つ「李総料理長」の頬ににわかに朱が差した。

「そ、それは……ありがとうございます……」

そして、可憐な花がほころぶようにはにかんだ。


実は、ローレンの彼氏が竜生くんなのだ。

めちゃくちゃ忙しい二人は、少しでも会える時間を確保しようとただいまラブラブ同棲中である。
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