フェイク☆マリッジ 〜ただいまセレブな街で偽装結婚しています!〜 【Berry’s Cafe Edition】

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「——この料理を……本当に、君がつくったのか?」

小笠原はダイニングテーブルにどーんと置かれた大皿の上の料理を見て、呆然とした様子でつぶやいた。

「もちろん、そうよ」

わたしは腰に手を当て、ドヤ顔で説明する。

「食材はゲート近くのTaishoyaで調達したの。
運転免許も車もないから、わざわざ歩いて行ったのよ。
購入した物はあとでお店の人が配達してくれたけど、帰りは上り坂だったからものすごーく疲れたわ」

「クックパ◯ドでも観て、これをつくったのか?」

「まさか!」

わたしはキッパリと否定した。

「亡くなったおばあちゃまが、わたしたちのためにレシピノートを遺してくれてたの。
だから、そのノートから『サンデーロースト』を選んでつくってみたわ」


その昔、英国の地主が小作人たちの一週間の労働を(ねぎら)うため、毎週日曜日にローストした肉をふるまったのが由来とされる「Sunday Roast」は、パブなどではフィッシュ&チップスと並ぶ英国民にとってど定番の料理だ。

祖母のレシピによると、「meat()」はbeef()でもpoke()でもchicken()でもlamb(子羊)でも何でも構わないとあったが、今回はローストビーフにした。

現在ではローストした肉だけではなく、茹でた野菜なども添えられるようになったのだが、何と言ってもローストしたジャガイモとヨークシャープディングは欠かせない。

なので、大皿いっぱいのかなりボリューミーな料理となる。


「さぁ、どうぞ、召し上がれ!」

わたしは両手を広げて促した。

ナイフで頃合いの大きさに切ったローストビーフを、小笠原が口の中に入れた。
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