君と描く花言葉。




「……よし。決めた。
エリカ、前みたいにマーガレットを心で見て?」



他愛もない話をしているうちに、ふとセイジが真剣な顔に戻ってマーガレットを指差した。



お、どうやら描き方を決めたみたいだ。


こくりと頷いて、目を閉じる。



マーガレットの花言葉は……真実の友情。



マーガレットといえば、目の前にある花通り、花びらが白くて真ん中に黄色があるイメージだけれど。





真っ暗な中にじわじわと浮かんできた私のマーガレットは……緑色、かな?


花びらの付け根のところは黄緑色で、真ん中は濃い緑。


真ん中から端っこにかけて黄緑から白のグラデーションがあって、なんだか爽やかなお花だ。



「見えた?」


「ばっちり!」


「よかった。じゃあ、下書き描いちゃうからちょっと待ってて」


「うん、わかった」



私が目を開いた時には、セイジは既に鉛筆を手に持ってキャンバスに向き合っていた。


真隣に座ったまま、鉛筆が動くのを見る。




しばらくすると、すぐにマーガレットの形が浮かんできた。



やっぱり早いなぁ……。


いつかの、モノクロのバラの絵を描く課題を思い出したよ。


あれも、あの時は素直に認められなかったけれど。すごかったなぁ。


宇宙人になりたいなんて言ってるけど、実はもう神の手を持ってるんじゃないの?



だってあれ、花瓶の質感まで忠実に描かれてたよ?

しかも30分足らずで。人間業じゃなくない?



宇宙人にならなくても、今のままで十分だと思うけどなぁ。



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