君と描く花言葉。




「……あの、私でよかったら何か描きましょうか?」


「あら!いいの?
嬉しいわあ、ぜひお願いしていいかしら!
祥太郎さん、ペン!奥からペン持ってきてちょうだい!」


「はいはい、今持ってくるよ」


「ありがとうねえ。助かるわあ」


「いえいえ!このお店、夫婦で開いてるんですか?」


「ええ、そうよ。私と祥太郎さんの2人だけで」


「へえ……なんだか素敵ですね」


「ふふ。嬉しいことを言ってくれるわねえ。
ほら、女の子って、昔はお花屋さんを夢見る子も多いじゃない?」


「そうですね」


「それがねえ。覚めなかったのよ、私。
大人になってもそのまま、お花屋さんになりたいって」


「いいですね……子供からの夢。
この店は月森さんの宝物ですね」


「そう!そうなのよ〜。
エリカちゃん、いい子ねえ。いいなあ。こんなにいい子が子供だなんて、エリカちゃんのお母さんが羨ましいわ」


「いえいえ、そんな……。
月森さんは子供はいないんですか?」


「そうなのよ、まだ。
子供ができたら、エリカちゃんみたいにいい子に育ってくれるかしら〜」



ぽわぽわと幸せそうに微笑みながらそう言う月森さんに、照れてしまう。


そんなことを言われたのは初めてで、嬉しいような、恥ずかしいような、よくわからない気持ちでいっぱいいっぱいになった。



もし月森さん夫婦に子供ができたら、絶対私よりいい子になると思う。



だって、こんなに素敵な夫婦なんだもん。


初めて会った私にもこんなに優しく接してくれて、2人はすごく仲が良さそうで。


きっと、2人みたいにほんわかして可愛い子が生まれるんだろうなあ。




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