君と描く花言葉。




「できました!こんな感じでどうでしょうか?」



じゃーん、と色のついたチラシを見せると。


2人とも、優しく笑いながらパチパチと拍手をしてくれた。



……小さい頃は、いつもこうだったなあ。



両親の似顔絵を描いて持っていくと、いつも褒めてもらえた。


あの時は上手く描こうなんて思いは全くなくて、ただ楽しんでいるだけの純粋なお絵描き。



その純粋さはいつからかなくなって、上手く描きたい。上手く描かなきゃ。そんなことばかり思うようになっていた。



なんだか懐かしい気持ちが溢れてきて、少しだけ泣きそうになったけど。


心の中はあったかくて、ちょっとくすぐったかった。




「ありがとうねえ、エリカちゃん。
グッと可愛くなって……あぁ、そうだわ!
良いものがあった。ちょっと待ってて!」


「えっ、はい?」



急に何かを思いついて奥に走って行ってしまった月森さんを呆然と見送る。



おっとりしているように見えて、慌ただしい人だなぁ。


それを見て祥太郎さんは、呆れたような、微笑ましいものを見るような顔で、ふう、と息をついた。



「すまないね、エリカさん。恵美子のわがままに付き合わせてしまって」


「いえ、そんな!私も楽しかったですし……。
ふふ、いい奥さんですね」


「はは……あれは昔っからああでね。
自分で天然なのに気付いてないんだ。人を振り回すだけ振り回していく」



そう言った祥太郎さんはとても穏やかな顔をしていて。


そこに確かな愛を感じた。



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