この空を羽ばたく鳥のように。
「コラ!あんたたちやめなさい!! それうちの猫なのよ!?」
私が仁王立ちになって大声で怒鳴ると、子ども達は「わぁっ」と 蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「まったく!近頃のガキんちょは!」
鼻息も荒く追い払うと、急いで銀杏の木の下に駆け寄る。
虎鉄の無事な姿を見つけて安堵した。
(よかった。無事だったんだ)
ホッと胸を撫で下ろすと、遅れてあとを駆けてきたおたかに向き直る。
「おたか。お前は先に屋敷へ戻りなさい。
それでもし喜代美が戻っていたら、ここのことを報せてちょうだい」
もう陽は中天をだいぶ過ぎている。
もしかすると喜代美も、修練を終えて帰ってきているかもしれない。
そう指示すると、おたかは心配そうな顔をした。
「ですが、お嬢さま……」
「大丈夫よ。虎鉄を降ろしたらすぐに帰るから。悪いけど荷物お願いね」
買い物を包んだ風呂敷を無理やり渡すと、おたかはしぶしぶ指示にしたがった。
「さて、と」
私は木の上の虎鉄を見上げる。
虎鉄は丸く縮こまりながら私を見下ろしている。
「ほら虎鉄。お前をいじめていた子達はみんな追い払ったわ。降りてきなさい」
両手を広げてそう声をかけても、虎鉄は微動だにしない。
ただジッと私を見つめるだけ。
「私を忘れたの!? お前の主人じゃない!」
そう言ってみても、反応なし。
(くそう。私は飼い主と認められてないってことか)
降りてこないならどう引きずり降ろそうかと思案するが、餌になるようなものは全部おたかに持たせてしまったし、あの高さでは喜代美ならまだしも私では両手を伸ばしても届きそうもない。
ならば、方法はただひとつ。
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