雪の光



『6月4日

ここ最近、雨が多い。
ショウタに彼女が出来たらしい。
朝から相合傘をしたとか自慢していた。』





毎日書いていたのは最初の数日だけらしく、あとは一日置きだったり3日飛んでいたりとまちまちだった。


彗らしくて泣きそうだ。





『6月6日

茜から夕飯のおすそ分けが玄関に置かれていた。
茜は料理がうまい。』





『6月7日

母さんの命日。
毎年この日は思う。
もしも今、母さんが生きていたら俺は気持ちが理解出来たのか。』





メモをめくる手が止まる。


初めて見る、感情のこもった文章。


その証拠に、紙の余白に涙が落ちていた。


……理解出来てるじゃん。


それが悲しいってことなんじゃないの。


彗はちゃんと分かっていた。


ただ、そういう自分に気付いていないだけで。






『6月12日

告白された。
整った顔立ちだったけれど全然知らない女子だったから断った。
ビンタされた頬が痛む。』




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