雪の光
「写真撮ろうぜ!」
「侑里も撮ろう」
瞬が誘ってくれる。
「え、いいの!」
「もういい?撮って」
乾いた電子音で私達の思い出は収まった。
解散になったけれど、校内はまだ別れを惜しむムードでいっぱいだった。
写真を撮ったあと、私は1人で校内を歩いた。
本当は誰もいない時間に歩きたかったけれど、ばたばたしていたから仕方が無い。
窓から外を見ると、桜が少しずつ咲いているのが見えた。
「侑里」
呼ばれた。
「侑里、卒業おめでとう」
振り向くと、はにかんだお母さんがいた。
「……ありがとう」
「ごめんね、お母さん達ずっと喧嘩して侑里のことを放ったらかして」
今更遅いよ、と言おうとしたけれど、言葉がうまく出なかった。
「自分のことしか見えてなかったね、お母さん。
侑里の気持ち、全然気付けなかった。
大学受験のことだって、相談したかったはずなのに乗ってあげられなくてごめんね」