雪の光


そんなものか、と思った。


人間関係なんて。


出会って一生仲良くする人もいれば、これっきりの人もいるし、出会わない人だっている。


一生の付き合いになる人の方が遥かに少数だ。


この3年間で、特に最後の2年は、人間関係を痛いほど私は経験した。


屋上への階段を上る。


懐かしい。


たった一年とちょっと前なのに、もうあれから何年も経った気でいる。


ドアを開けると、先客がいた。


「……あ」


「久しぶり」


「瞬も、来てたんだ」


「うん。……返事、聞かせて」


何かがこみ上げてくる。


今日の私はおかしい。


「……ごめんね。私、忘れられない人がいるんだ。

……誰よりも、……大切なの……」


断ることがこんなに苦しいとは思わなかった。


もっと淡々と言えるのかと思っていた。


「……分かっていた」


「……え?」


予想外の言葉にさっきの何かが引っ込んだ。


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