雪の光
小走りで行くと、お母さんはもう校門の前で待っていた。
「ごめん、遅くなって」
まだぎこちない。
3年の壁は、思ったよりも大きかった。
「いいのよ、さ、撮りましょ。
侑里の写真」
もう撮影の準備は整っていて、あとは私が入るだけだった。
『卒業式』と書かれた看板の横に立って、シャッター音を待つ。
携帯のいかにも作り物といったようなシャッター音で、私の高校生活は、本当に終わった。
上を見ると、桜が綺麗だった。
実習棟から見た時も良かったけれど、こっちもいいなあ。
「帰ろうか」
「そうだね」
並んで歩くのは、小学生以来だ。
距離のとり方が分からなくて少し離れた所から歩く。
「良かったね、合格できて」
「うん」
「何か食べて帰ろうか」
……思いついた。
これがだめなら、もう二度と会えないかもしれないけれど。
「……侑里?」