雪の光


午後の講習は、国語と理科だ。


ほとんどの生徒は午前だけ受けて部活に行くか、帰ってしまう。


塾に行っている人は講習には出てこない。


基本自由参加だからあまり強制はされていないけれど、進学校らしく半ば強制的な雰囲気はある。


そういう空気も私はあまり好きではない。


かといって、部活に行くのは怖い。


「千夏は午後の講習あるの?」


「あたしは午前だけー。

国語は塾で取ってるし、良いかなって思って。

私立文系だし理科いらないからね」


「そっか。

頑張れ、デート」


「なんで分かったの!」


みるみるうちに嬉しそうに顔をほころばせた。


「朝からメイクしてたから分かるよ」


「さっすがー!」


「じゃあね」


「うん、ばいばい」


千夏が出ていくと、肩の力が抜けた。


強がってはいたけれど、本当は居心地なんて悪くてずっと吐きそうだった。


お弁当だって、ほとんど食べられなかった。


何とか消化に良さそうなものは食べきれたけれど、すぐにでもトイレに行って吐きたい。


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