雪の光
「侑里、今日は帰るの?」
帰りの準備をしていると声をかけられた。
「うん」
「でもみんな準備しているじゃん、いいの?」
「いいの」
早く帰りたい。
気付かれる前に帰りたかったのに。
「……何かあった……?」
「何もないよ。
私が行きたくないから行かないだけ。
それ以上に理由、ない」
鋭い千夏はそれで追及の手は緩めなかった。
きっと何があったか想像がついているのだ。
「……喧嘩でもした?」
「さっきも言ったように、ただ行きたくないから行かないだけ」
「じゃあ行きたくないってことにも理由はあるじゃん!」
「行きたくないから行きたくないの」
「何かあったんでしょ!」
「私の部活に行かない理由を知ってどうするの?
そんなに私に構ってどうするの?」
「心配だからに決まってるでしょう!」
「それじゃあ千夏が疲れちゃうじゃん」
「それでも心配なの!」