雪の光
家に帰っても誰もおらず、リビングで教科書を広げた。
私の今の気持ちなんて教科書に載っているはずがないのに、すがるように探した。
国語だけじゃなく、数学、理科、世界史、政治経済、英語。
……ない、ない、ない。
探し続けて我に返った。
……何やってんだろ。
馬鹿みたい。
気持ちが分からないからって人のことを避けてきたツケがまわって来たのだ。
分からないなら分からないなりに人と接して気持ちを勉強すれば良かっただけの話。
それさえしていれば、私は今、困っていなかった。
ああなんで。
泣きたいのに涙すら出ない。
こんなんじゃあ私、サイボーグみたい。
近くにあったカッターナイフで太ももを筋肉の筋と垂直になるように切る。
そうすると、傷は残ると何かのサイトで知った。
でも、今日はそれで治まらず、キッチンに入って包丁を探した。
……あった。