雪の光
……これで切れば、楽になる。
気持ちは昂り、まるで今にもはちきれそうな風船のように抑えきれなかった。
ブラウスの袖をまくり上げて制服に血がつかないようにする。
手首に軽く刃の部分を当てるとすぐに血が滲んできた。
なんとも言えない心地よさが全身を支配する。
もっと、もっと。
もう少し力を強めると、どろりと血が流れ出た。
すぐに手首を赤く染め、床にぼとぼとと落としていく。
水よりも粘度が高いためか、血は重く落ちている。
染みはすぐに他の染みとくっつき、池を作り上げていった。
それを見ても、生きているとも死に近づいているとも思わなかった。
この時間が永遠に続いてほしいだけだった。
これ以上強めたら血が止まらなくなって死ぬ所でやめた。
そしてそのまま利き手を切りつけた。
でも、力加減が難しく、深く切ってしまった。
そこで初めて止血することの緊急性に思い至った。