雪の光
とりあえず汚してもいいタオルで傷口を塞ぎ、床を掃除した。
思っていたよりも血は取れにくく、床に少しこびり付いている。
……こうやってすぐに傷つけてしまうのも良くないと分かっている。
全て分かっている。
自分が今、どういう風に振る舞えば話しかけてもらえるか、心配されるか、注目されるか、知っているのだ。
知らなければ良かったこと。
計算高いのだ。
僅かに残っている染みを拭きあげてタオルは全て自分の部屋で捨てた。
さすがに自分のものでない血を見たらお母さんも驚いてしまう。
有り合わせの包帯で足と腕を保護する。
今が冬でよかったと思う。
夏だと露出する部分が増えるからあまり切ることが出来ない。
そういう時は大体、自害する将軍のようにお腹を切る。
だから私の体は手足、お腹を中心にミミズ腫れがある。
何事もなかったかのように散らかった教科書を片付けて自分の部屋に上がる。