雪の光
「お弁当食べよ!」
有無を言わせずに、机をくっつけさせる。
「ねえ見て、今日のおかず。
何これって感じ」
うるさい。
「それにこのお米。
こんなにびっしゃびしゃ」
うるさい。
「うけるよね、自分で作った弁当がこんな出来栄えとか」
うるさい。
「侑里はパン?
昨日もパン食べていたよね」
うるさい、黙って。
「不味くても構わなければ、あたしの弁当分けてあげようか?
栄養偏ってるよ」
うるさい、分かってる。
手首と太ももの傷が痛み出す。
「ねえ、」
「あのさあ、私、1人で食べたい」
「……え?」
「疲れたから1人で食べたい」
「……あ、ああ、そうだよね。
ごめんね!」
言い終わる前に私は席を立って教室を出た。
たぶん、誰にも見られていない。
歩きながら空き教室を見つけて入る。
ドアを閉めると、力が抜けた。