雪の光


授業が終わっても、今日は部活があるからまだ帰れない。


ジャージに着替えていると、廊下から千夏が手を振ってきた。


「頑張ってねー」


「うん、ありがと」


何事もなかったかのように話している自分に驚いた。


ラケットを持ってグラウンドに出ると、まだ同級生は誰も来ていなかった。


……ちょっと早すぎたかな。


友達がいないとこういう時に少し困る。


下級生が準備をしているから私もそれに混ざって準備をする。


ボールに空気を入れたりネットをセットしているうちにアミがやって来た。


だけど私には目もくれず、話すこともなく自分の準備をしている。


話しかけてほしいとは思わないけれど、いないものとして扱われるのは心臓の辺りが痛くなる。


せめて、挨拶くらいは。


話しかけない私にも原因はあるのだ。


「……アミ、おはよ」


「あ、ああ、おはよう」


滅多に話しかけないから驚かせてしまったのかもしれない。


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