水月夜
理由がわかって納得するが、先輩の説明はまだ続いた。


「俺が予想した姿とは逆だったから、俺から『君を恋愛的な意味で好きになってない』って言ったけど、『じゃあ、これから私を好きになればいいじゃないですか』って返されてさ。これ以上言葉を返しても問題は解決しないから、彼女からのメッセージや着信を無視することにしたんだ」


「でも、直美からは大量のメッセージや着信が来ていたんですね?」


「あぁ。彼女からのメッセージを見て、『もう俺は逃げられない』と思って。大坪さんにどんな対応したらあきらめてくれるのかを考えてるうちに朝が来て、眠れなかったんだ」


なるほど。


つまり直美にかけた言葉が、かえって緒方先輩を苦しめていたということか。


だとすれば、緒方先輩がやつれた顔で登校するのは私のせいだろう。


「……先輩、ごめんなさい」


「えっ、なにが?」


私が謝る姿に、まばたきをする緒方先輩。


そんな緒方先輩をスルーして、突然謝った理由を話した。
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