水月夜
ところが、目をそらした直後、グイッと襟首を強く掴まれた。


襟首を掴んだほうに視線を向けると、ヒロエと紀子に拘束されたはずの直美が、私を睨みながら襟首を掴んでいた。


直美の行動に雨宮くん、ヒロエ、紀子の3人が目を見開く。


ジタバタと抵抗するが、襟首を掴む力が弱くなるどころか逆に強くなる。


首を絞められて息が苦しくなる。


それでも首を絞める手の力はゆるまない。


もうダメ、限界……。


そう思って目を閉じようとしたそのとき、直美の手が私の襟首から離れた。


呼吸が自由になった私は、ペタッとその場に座り込んだ。


なんとか死なずに済んだ私に、雨宮くんが駆け寄ってきた。


「柏木、大丈夫か?」
< 213 / 425 >

この作品をシェア

pagetop