ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「なにこれ」
「五百万円ある。お前がいつか嫁に行ったときのために貯めておいたものだ」
それは、私名義の預金通帳だった。
「並木のおじさんな、おばさんの高額な治療費や経営がうまくいかなくて借金しても、ずっと頑張ってたんだ。だけどおばさんが亡くなって、糸が切れちゃったのかな。つらくてどうにもならなくて、どこかに行きたくなったのかもしれない」
私は黙って父の話を聞く。
「お父さんもわかるんだ。お母さんが死んだとき、本当に悲しかったから。でも、俺には小春がいてくれた。お前のおかげで踏ん張ってこれたんだ」
「お父さん……」
私だって同じだ。お父さんがいてくれたから、なにがあっても乗り越えてこられた。おじさんは、ひとりになったと思ったのかな。心配でたまに様子を見に行っていたのに、全然気づけなかった。
「家や店を失ったっていい。小春より大切なものなんてないんだ。それなのに、お前には苦労ばっかりかけてごめんな」
私は反射的に首を大きく振って否定する。
「五百万円ある。お前がいつか嫁に行ったときのために貯めておいたものだ」
それは、私名義の預金通帳だった。
「並木のおじさんな、おばさんの高額な治療費や経営がうまくいかなくて借金しても、ずっと頑張ってたんだ。だけどおばさんが亡くなって、糸が切れちゃったのかな。つらくてどうにもならなくて、どこかに行きたくなったのかもしれない」
私は黙って父の話を聞く。
「お父さんもわかるんだ。お母さんが死んだとき、本当に悲しかったから。でも、俺には小春がいてくれた。お前のおかげで踏ん張ってこれたんだ」
「お父さん……」
私だって同じだ。お父さんがいてくれたから、なにがあっても乗り越えてこられた。おじさんは、ひとりになったと思ったのかな。心配でたまに様子を見に行っていたのに、全然気づけなかった。
「家や店を失ったっていい。小春より大切なものなんてないんだ。それなのに、お前には苦労ばっかりかけてごめんな」
私は反射的に首を大きく振って否定する。