ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
仕事から帰ってきた颯馬さんと一緒に食事を済ませた私は、コーヒーのカップを持ってソファーに座る彼のもとへと向かった。
「どうぞ」
「あぁ。ありがとう」
私からカップを受け取った颯馬さんは、顔中を和やかにして微笑む。私は隣に腰を落として、おもむろに口を開いた。
「今日、お父さんの意識が戻りました」
「そうか。それはよかった」
颯馬さんは息を弾ませる。
「これで小春も少し安心だな」
私が「はい」と首を縦に降ると、颯馬さんはカップに口をつけながらじっとこちらを眺めている。私はそれに気がつき、問いかけた。
「どうかしましたか?」
「いや、その割には元気がないなと思って」
思わずぎくりとする。
「そんなことないですよ。気のせいです」
私ははぐらかすように作り笑いを浮かべた。しかし、颯馬さんは顔をしかめる。