ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「嘘をつくな。すぐにわかる」

「……本当に、なんでもないですから」

「言えないのか?」

 颯馬さんの澄んだ瞳が、見透かすように私を見据える。

「颯、馬さん……?」

「君はそうやって、いつも俺の手からすり抜けようとしていく。心を見せず、無理に笑って」

 私はカップを床に落とした。鈍い音と水音がして、慌てて顔をそちらに向ける。しかし、それを許さない彼の手が私の後頭部へと回り、強引に視線が絡み合う。

「俺は、小春の本当の笑顔が見たい」

 鼻先が今にもぶつかりそうな距離で囁かれる。

「颯馬さ――」

 私が言い終える前に、唇が重ねられた。私の肩が小さく跳ねる。

 最初は触れるだけ。だが、それはすぐに深くなって、颯馬さんは何度も角度を変えてキスを繰り返す。次第に舌が差し込まれ、私は甘い声を漏らした。
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