ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
小春の父は、八つほど並ぶカウンター席の真ん中の方の席に腰掛けた。
「座って」
そう言われ、俺は遠慮がちに隣の席に座る。すぐに、小春とここへ来たときにも嗅いだ出汁の匂いに鼻腔をくすぐられた。ほっと吐息が漏れる。
すると、小春の父がおもむろに口を開いた。
「結婚のことは娘から聞いています。こちらこそすみませんでした。そして、助けていただいてありがとうございます。あなたがいなかったら、私が眠っているあいだに娘がどんな目に遭っていたか……」
「小春さんから入院していたと伺いました。お身体は、もう大丈夫なんですか?」
「おかげさまでだいぶ落ち着いてきました。今日は二時間だけ外出の許可を貰うことができたので、どうしても店が気になってここに」
「そうですか。あまりご無理はされないでくださいね。小春さんも心配します」
俺が言うと、小春の父は困ったように眉を下げて「本当ですね」と笑った。そのまま回転式の椅子を回した小春の父がこちらに向き直る。俺も合わせて身体を向けた。
「座って」
そう言われ、俺は遠慮がちに隣の席に座る。すぐに、小春とここへ来たときにも嗅いだ出汁の匂いに鼻腔をくすぐられた。ほっと吐息が漏れる。
すると、小春の父がおもむろに口を開いた。
「結婚のことは娘から聞いています。こちらこそすみませんでした。そして、助けていただいてありがとうございます。あなたがいなかったら、私が眠っているあいだに娘がどんな目に遭っていたか……」
「小春さんから入院していたと伺いました。お身体は、もう大丈夫なんですか?」
「おかげさまでだいぶ落ち着いてきました。今日は二時間だけ外出の許可を貰うことができたので、どうしても店が気になってここに」
「そうですか。あまりご無理はされないでくださいね。小春さんも心配します」
俺が言うと、小春の父は困ったように眉を下げて「本当ですね」と笑った。そのまま回転式の椅子を回した小春の父がこちらに向き直る。俺も合わせて身体を向けた。