ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
「小春」
颯馬さんが私を呼ぶ。
「小春。こっちを向いて」
小さく左右に首を振っていると、彼の手が私の頬から顎まで滑る。強引に上を向かされて、颯馬さんと視線がぶつかった。
「すまない。君にそんな顔をさせて」
「どうして颯馬さんが謝るんですか?」
「俺が嘘をつかせから」
颯馬さんは、困ったように眉を八の字にする。
つかせたんじゃない。私は大切なものを守りたくて、最後は私の意思でこうすることを決めたのだ。それなのに、いざご両親が心から祝福して喜んでくれている姿を見たら罪悪感で胸が痛くてたまらない。
お金で颯馬さんの妻になった自分が、とても無慈悲な人間に思えた。
颯馬さんが私からカップを取り上げ、自分の分とふたつテーブルの上に置いた。すると、彼の手が私を引き寄せる。
驚いて小さく声を上げるが、颯馬さんは気にする様子もなく大きな腕で優しく私を包み込んだ。彼のシャツ越しに体温が伝わってきて、身体がぶわりと熱くなる。けれど、途端に涙ぐみそうになるほどの安心感に襲われて、私は顔に狼狽の色を滲ませた。
颯馬さんが私を呼ぶ。
「小春。こっちを向いて」
小さく左右に首を振っていると、彼の手が私の頬から顎まで滑る。強引に上を向かされて、颯馬さんと視線がぶつかった。
「すまない。君にそんな顔をさせて」
「どうして颯馬さんが謝るんですか?」
「俺が嘘をつかせから」
颯馬さんは、困ったように眉を八の字にする。
つかせたんじゃない。私は大切なものを守りたくて、最後は私の意思でこうすることを決めたのだ。それなのに、いざご両親が心から祝福して喜んでくれている姿を見たら罪悪感で胸が痛くてたまらない。
お金で颯馬さんの妻になった自分が、とても無慈悲な人間に思えた。
颯馬さんが私からカップを取り上げ、自分の分とふたつテーブルの上に置いた。すると、彼の手が私を引き寄せる。
驚いて小さく声を上げるが、颯馬さんは気にする様子もなく大きな腕で優しく私を包み込んだ。彼のシャツ越しに体温が伝わってきて、身体がぶわりと熱くなる。けれど、途端に涙ぐみそうになるほどの安心感に襲われて、私は顔に狼狽の色を滲ませた。